開発者のノンフィクションです。10分で読めます。

マイウェイ

~~ たった一人を幸せにできれば、きっと多くの人を幸せにできる ~~

 MAYO が7年務めた職場を辞めるとき送別会で

歌った ”My Way” あれから

「♪ 心の決めたままに♪」

生きてきただろうか。

「たった一人も幸せにできなかったのではないか」

 

 

NAO(ナオ)の身が不憫だった。過労で若年性脳梗塞となり、心肺を止めての大手術ののち重い後遺症で車いすの人となった妻のことが。

 

 当時 MAYO(マヨ)は、出来たてのインター

ネットに夢中になり、独力で女性専用レンタルサーバーを立ち上げた。サーバー利用者の8割が男性という時代に、「あざらしCOCOちゃん」

の女性サーバーは大ヒットし、家にも帰れず一人手作業での顧客対応に追われた。 その矢先にNAO が倒れたのだった。

 

 北の丸公園でのプロポーズにNAO からの条件が

あったことを思い出した。

 

「私は速記の仕事が大好きです。

          一生やらせてくれますか?」

 

その時は「お安い御用」とばかり二つ返事したが、

今それを重く感じる。

 

 「私と結婚しなければ病気にもならず、裁判所速記官を続けられ、もっと幸せな人生を歩めたんじゃないか」

 

「いやそんなことにはさせない。きっと私を選んでよかったという人生にしてやる、どうしても どうしても」

 

 そうMAYO は心に決めた。以来「歩ける夢」に

向かってリハビリが二人の仕事となった。

いいリハビリを求めて長野、甲府、大阪、八ヶ岳と

転居は続いた。

 おかげで二人は新しい街と人に出会い、MAYO 

家事や料理を覚え、汗をいっぱいかいた。

 

 「悪い事ばかりじゃない、『健康という財産』を

手に入れたんだから」

 

 

 

 あれから15年、二人の絆は深まり、楽しいことが

大好きなNAO は「おうちカフェ」から電動車いすで毎日のように街へ出かけては facebook を上げ、MAYO 「いいね」をする。

 

 「おうちカフェ」とは、NAO が一生住みたいと

言った地に、一生の間に起こり得ることを

1年かけて考えたバリアフリー住宅で、小さいながらもMAYO 自慢の棲家てあった。

 自分が先に逝っても、NAO が周りの人たちに

見守られて生きて行って欲しいと願って、誰もが気楽にお茶できる交流の場とした。

 入り口は自動ドアで靴のまま入れるようにし、

外からはよく見える大きなガラス張りにした。

 

「個人の住宅の入り口が近所のカフェになっている」

 

と評判になり、見学に訪れた人の記帳は、2年間で

200人にもなった。

「悪い事ばかりじゃない、『絆という財産』を

手に入れたんだから」

 

 

 

 家を建ててしばらくすると、MAYO にぽっかりと空白の時間ができた。悔いなんかないと強がってはみたが、休眠状態の会社のことが気になっていた。

 

「これからもNAO もっともっと幸せにしてあげたい。そして今度はそれが 多くの人の幸せにもつながるよう眠っている会社を役立てるんだ」

と、MAYO は若いころの情熱が蘇ってきた。

 

 会社の目的は利益追求、でもその利益は

「お金」ではなく「健康と絆」になった。

 

 「お金より大切なものを追求する

  そんな会社があったっていいじゃないか」

 

 バーチャルオフィスに受付をお願いして

 「あざらしCOCOちゃん」    

たった一人の会社は再び船出を迎えることになった。

 

 ♪ 今船出が近づくこの時に

         ふとたたずみ私は振りかえる

         遠く旅して歩いた若い日を

         すべて心の決めたままに ♪

 

 MAYO には気になることがあった。それは地震や

津波などの災害だ。

 「一度襲われたら、家も車も思い出も何もかも奪われてしまうんだ、災害ってやつに」

 だがMAYO にはどうしても失えない宝ものが

あった。それはもちろんNAO であった。

もしも想定されている大災害が起きてしまったら、

歩けないNAO

    車いす      では逃げ切れない。

 近くの避難所である小学校へも行ってみたが、

段差があり、車いすトイレも介護ベッドもなかった。

 

 「NAO をどこか安全なところへ避難させなければ

                  ・・・・・」

 

 だが、強固で安全で障害者にも優しい避難所が

あるはずもなかった。

 

「100年安全な避難所を作ろう!

 今度はそれが人々のためにもなるような!」

 MAYO は体験と持ち前のアイデアを総動員して、

また1年がかりで大胆なプランを考えた。

 

 避難所は100年の安全を願って100をキーワードにしよう。

 

NAO が100歳になっても元気で暮らせますように、人々が100倍訪れてくれますように」

 おうちカフェを100倍にした

    「100年避難所」のコンセプトは

 

『100年の健康と絆』

 

 都心から100kmほど離れた郊外に、分厚い

コンクリートでガードされ、沢山のハンディキャップ

マークがついて災害時も平常時も、障害者にも

健常者にもバリアフリーな場所となる。

 

 

 

 

    フロアのご紹介

 

【『絆』がテーマのフロア】

 絆とはつながりとか交流のことだが、MAYO 

考えている絆は単なる会食やおしゃべりではなく

『発表』という意欲的ものだ。憲法で保障された

言論の自由、表現の自由を目一杯発揮する場。

 それは自分を、自社を、愛する人を、夢を

100人の前で発表する舞台である。

 弾き・語り・歌い・踊り・演じたりと、誰でも

希望すれば3分でも30分でも、自己表現できる。

 聞きたい人は傍に椅子を持ってきて備蓄スナックを

つまみながら気楽に視聴できる。人が大好きなNAO 多分常連さんだ。

 

 一方災害時は会員と近隣の避難所になる。津波の時は分厚い防潮板が命をガードする。核汚染のときは、空気清浄された気密フロアが命をつなぐ。

全てのインフラが被災し、インターネット等の通信や、あらゆる交通・物流が寸断されても、衣食住に

事欠くことはない。

 備蓄品を共有し、インフラ復旧まで支え合って

生き延びる。単にいたわり合うだけでなく、

給食・掃除・介護・発電等できる奉仕をする。

 

 奉仕と感謝が絆を深める。

 

【『健康』のためのフロア】

 MAYO は、運動不足になりがちなNAOに、 何か

いい方法はないかと探していてたどり着いたのが

3Ⅾの世界だった。

 安全に運動できるトレッドミル型歩行機を使って

3Ⅾワールドに入れば、障害者も高齢者も家にいながら運動教室の仲間入りができる。

 

 人の健康の半分を担うのがメンタルという部分だ。

メンタルを左右するのは良くも悪くも「人」の問題。

 それが、人は3Ⅾアバターというベールをまとう

ことでのびのびと、いきいきと、楽しみに交流が

できる

 3Ⅾの世界で12年過ごしてきたMAYO はそのことを

知っていた。だからMAYO はローカルネットワークに

『健康と交流のバーチャルワールド』

を作ることにした。

 一方、避難生活では運動不足、エコノミー症候群、

はては様々な病気が待ち構えている。災害時にこそ

健康フロアが欠かせない。ビル内には保健室があり、

専門家が待機している。もちろんトイレは

スフィア基準を満たしている。

 

【管理フロア】

 人もビルも健康を維持するには日々のメンテナンスが欠かせない。NAO も大好きだった速記官の活動にのめり

込み、自分自身のメンテナンスが行き届かず命を落とすところだった。

 MAYO はその反省から、100年の安全を守るには

事が起きてからではなく、起きるかもしれないことへ

の対処が大事だと思った。

 だから100年を見越した管理・警備・保管・備蓄・発電・連絡方法などを予めスケジュールにすること、

そして改良し続けること。そうすれば誰もが淡々と

作業できる。

 

【占有使用フロア】

 100年コンクリートで固められた耐震免震のシェルタービルには、100年使用できる大小の賃貸区画がある。その用途はビジネスに、居住に、オフィスに、寮にと自由に使え、100年のわたって安全を守る。

 

【屋上フロア】

 一番太陽に近いフロアでは自然の恵みを享受したい。運動公園と菜園があり、発電設備と雨水タンクがある。緊急時にはヘリポートにもなり、ドローンタクシーのような未来の交通システムにも対応する。

 

 「ふ~、それにしても大事業だな」

MAYO はため息をついた。とても一人の力でできる

代物ではない。それに膨大な資金が必要になりそう

だが、「100年避難所」という儲けに

ならないことに融資する銀行も、出資する投資家も

いないだろう。

 

「隣は何をする人ぞ」

「近くの商店へより、大型ショッピングセンターへ」

 

という時代に起きた東日本大災害で、命を救ったのは

近隣の絆、人々の交流であった。

 

「そうだ!

100年避難所は人々の力で作ろう!」

みんなで知恵を出し合い、みんなで汗し、みんなで命を守る。絆で作る100年避難所を、NAO が大好きになった町にちなんで

金次郎ビル

 

と命名しよう。金次郎とは薪を担いて勉強した

二宮金次郎のことだ。

 

そしてビルでの生活に必要なものは、ここで通用する

専用コインで分け隔てなく手に入るようにしよう。

 首都が日本が壊滅的被害を受け、円が暴落して

ハイパーインフレに陥っても、金次郎ビルでは

備蓄した食料や屋上菜園の新鮮な野菜できた食事を

専用コインで食べられる。

コインは奉仕することで手に入る。

できる範囲のこと(奉仕)をしてコイン(お礼)を得、

コイン (お礼)を払ってできないこと(奉仕)を

してもらう。 こうして健康と絆で

コイン経済圏(コミュニティ)ができあがる。

 みんなが出し合い、みんなで考えて、みんなで運営

する100年避難所「金次郎ビル」は、

 

 日本という人的災害の少ない国の中にあって、

更に自然災害からも強固に守られる一つの国でもある。

 

 日本というお金が第一の国の中にあって、

    お金以外に大事な価値を見出す国でもある。

 

「そんな国があってもいいじゃないか」

 

 コインが一つの経済を安定的に支え続け、

健康と絆とコイン

があれば平常時も災害時も国民が穏やかに生きていけるそんな国を必要とする人がきっといる。

 

 「あざらしCOCOちゃんのレンタルサーバーよ

金次郎国となって蘇れ!」

 NAO がもっともっと幸せになれるよう

 一人でも多くの人が幸せになれるよう

 コイン ミュニティが世界に広がり

 健康と絆を大切にする100年避難所

 「金次郎ビル」が世界中にでき

 誰もがどの避難所にも

 コインで泊まれる日がくるよう

 MAYO は願った。

 

 突然の脳梗塞という災難から15年が経ち

 笑顔に満ちたNAO を見ていてMAYO は思った。

 

 「たった一人を幸せにできたのなら

 きっともう少しの人を幸せにできるさ」

 そして口ずさんだ。

 

 「君に告げよう、迷わずに行くことを、

君の心の決めたままに♪」

マイ・ウェイ ( MY WAY )

 

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以上で短い短いノンフィクション第1話を終えます。

第2話は一緒に綴りましょう。

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古川 満洋(マヨ)

慶応義塾大学卒業後、法律、不動産、

建築関係を経てIT業界へ。

趣味はバーチャル3Ⅾワールド、VR、MR。

飛行機嫌だがバーチャルには海外友人が多い。

 
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